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とっくに他人じゃないふたりを 世間が他人に させておく
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タイトルセンスくらいほしいなあと思うんですが。

↓ 雑伊SS
タイトル:小さな幸せ

※数年後くらいのイメージです。
こないだも似たような時期設定でかいてたなコイツ…と思ってもスルーしてくだしあ。
私だって…私だって15才と36才かいてみたいやい!
でも不惑の40代雑渡さん(恋心にしか揺れないけど伊作くん守るスタンスは不動)とか萌えるし、凛々しく若さキラキラ20代伊作くん(達観した恋心と母性愛)とか素敵なイメージしかないもので…好きです。
三十路と五十路も好きなのー!大好きー!

※両片思いです。ある意味悲恋。


ほんの一時。
あの人の包帯を換える手当てをする、短いけれど二人きりの時間。
それが私の幸せ。

「やあ、こんばんは。」
卒業して市井で薬師のような戦場医のようなことをしている私のうちに、雑渡さんは時々ふらりとやってくる。
忍装束でないときの方が多い。

「雑渡さん、背中に傷が増えてますよ。」
「ああ、少しひっかかれたねえ。」
「なさるときはきちんと包帯を巻いたままでなさってくださいね。傷を増やさずにすみますから。」
「ん~巻いてたんだけどね、ほどけちゃった。」
「今度なさる時はなるべくひっかかないようにってお願いしてくださいね。小さな傷でも、あなたの容体を悪化させる恐れがありますから。」
「うん、じゃあ次の相手とは両手を縛りつけてすることにするよ。」
「そうですね。それならあなたの傷が増えずにすみますね。」

相づちをうち伊作は雑渡の傷の消毒を続ける。
相手には災難だろうが、伊作にとっては雑渡の傷が増えないこと、悪化しないことの方が重大事だ。
「薄布に薬を染み込ませて充てておきますね。包帯も、ずれないように背中は少しきつめにしておきます。…苦しくないですか?」
「うん、大丈夫だよありがとう。 」

目を細めて礼を言う雑渡に伊作も嬉しげに、どういたしましてとにっこり笑う。
今日も彼の求めに応えることが出来た、役にたつことが出来た、それがとても嬉しくて笑う。このひと時が終わるのが名残惜しくも、またねという彼の言葉で何があろうとも死なずにいられる。
好いたお方に次の約束を頂ける、嗚呼私はなんて幸せ者だろう。



それじゃあまたねと伊作くん宅を去る時は、少し名残惜しい。
だが満ち足りている。
雑渡昆奈門は満足する。

初めて耳にした時、変わったこどもだと思った。
初めて目にした時も、変わった子だと思った。
初めて会った時、なんて甘い子だろうかと思った。
敵味方も気にせず傷の具合と手当ての痛みばかりを気にして優しい言葉をかける。
やっぱりおかしな子だったなと何度となく思い返した。
美しい顔、瑞々しい肌に目鼻立ちも涼しげで、ああなんて甘く綺麗な子だったろうかと私はため息をつく。あの綺麗な子は本当に人だったのかと疑う程に、私は血迷っていた。
勿論自覚していた、だから、彼に会わなくてはと思ったのだろう。
人として生きて、そして困っているだろう彼にこの恩を返さなくてはと。
そして私たちは再会し、もう何年も良き友人でいる。

幼く清らかで優しかった彼は今も変わらず優しくて綺麗なままだ。
優しい伊作くんに優しく労ってもらってこの煩わしいぐちゃぐちゃな傷を清潔にしてもらって、そして私は今夜も彼に淫らがましいこと無理無体なことをせずに、彼の信頼を裏切る事なく理性的に話をすることが出来た。
これでまた、彼に優しく迎えてもらえる。
ああ、彼と過ごすたわいもない時間、なんて愛おしい幸福な時間。
これがあるから私は、いまだ生き長らえて雑渡昆奈門でいられるのかもしれない。
好きな子に文字通り生かされている私程幸せな男は、そうそういるまいよ。


小さな幸せひとつづつ、二人は今日もわかれわかれに歩いてく。
恋を殺して、生きてゆく。

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