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とっくに他人じゃないふたりを 世間が他人に させておく
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私は、くくちと勘ちゃんに夢をみていると思う。
わかっております、ツッコミはかんべんしてください。自分で書いててお前は兵助をどんだけかわいいと思っているのか!と吠えたので自覚はしていますすいません。

というわけで今回は、くくちと勘ちゃんが出てきます。
でも雑伊です。けどシリーズ続けられたら雑伊じゃなくなりそうなんですよね。伊作の子育て物語、みたいな。
まあ続けるだけのネタはないのですが。

↓ 雑伊パラレルSS
タイトル:神様になっても相変わらずな2人

※タイトル考えるの面倒だったんだゼ。
※捏造しまくり、くくちは黒猫又、勘ちゃんは竜かなー蛇かなー、そんな感じ。
※雑渡さんは鉄絡みのタタラ神で祟り神です。
※いさっくんは、ピュアネス☆お狐様です。でも玄狐なの髪黒いから。
SSの中にはそんな描写一切出ないのでどうでもいいちゃどうでもいい設定です。

己から零れる血の匂い、荒れた息はもう限界に近い。
それでも、捕まるものかと灰狼は深い森を駆け抜ける。
水の匂いのする方へひたすら駆ける。
向こうから吹く風は清浄で、後ろから迫る錆た昏黒とは真逆の気配。
今の八左ヱ門にとっては恐らく唯一の救い。

捕まるものか!あんな禍々しい神などに!

 

足速いなあ。
シュルシュルと音を立てて足場の暗雲を広げるが、獲物にはなかなか追い付けない。
流れる血のせいだろうか、いや自分の血は全て暗雲によって広いあげられて力は一滴たりと零れてはいない。
まぁそのうちあちらが弱って止まるだろうけどこの先、あまり保たれるとまずいかな…。
自ら討手になったのはともかく、逃げる獣に面白がって木立の間を行こうとしたのも災いしたようだ。
私そもそも自分とこ以外の木々には嫌われているしねえ。
この先まっすぐに進めば、別の神の領域に踏み込む事になる。
幸いその神は踏み込んだ事をむやみやたらと怒る相手ではないが、他の神々妖怪精霊どもにも信望厚い清浄な生神でしかも稀有な玄狐、己のような禍憑きの端神が礼も示さず踏み入れられる相手ではなかった。更に五行の質も真逆、雑渡にとっては一番やりにくい相手でもある。
一度、上に抜けようか。
うん、そうしようそれならば火も使えよう。というか初めからそうしておけば良かった。
シュンと真上に飛べば、暗雲もそれに倣い空中に着地点を作りもうひとつの靴のように雑渡の足に絡み着く。

「毛皮が、少し勿体ないね。」
かなり大きいのが取れたのに。
そう呟く、手の中には溶岩のごとき熱をもってゴボゴボと内面で湧き立つ赤いおはじきが3つ。雑渡が握り、開けば針の如くとなり指の間でキラキラと輝く。ただし雑渡に巻かれた包帯はその熱に堪えられずジュウジュウと焼き切れた。
「少しは剥ぐところが無事でありますよう…ん?」

川面からシュワシュワとかなりの速度でもって霧が広がり、それは灰狼だけでなく上空の雑渡までも覆い隠す。夜明け前ではあるけれど木々の吐く息よりそれは明らかに早く多い、そして河に夢想を吐く蛤が住みついたという話も聞かぬ。
「邪魔をするのは、誰だい。」

問いに答えるものはなく、風の刃がヒュンヒュンを音をたて雑渡の脇を駆け抜ける。かわして動けば黒く長い針が腕に刺さる。おまけに、水泡が川面からこれでもかと飛んでくる。
「おチビさんたちか…。」
ああ、やっぱり面白がって森になぞ飛び込まなければ良かった。
雑渡は手の内の針をたちまち1本の杖に変え、回転させる事で水泡を片っ端から蒸発させる。

痺れを切らしたのか、ドンと音を立て伸びた太い水柱が雑渡を呑み込み落ちていく。
びしょ濡れはたまらぬと雑渡が手の杖を刃に変化させた刹那、ビリビリと雷が水柱に落ちた。

「くあっ…」
雷の熱気に水柱は消え、雑渡だけが落下する。
「この、悪戯小僧ども…!!」
暗雲は雑渡の全身に絡み、無様な着地だけは免れた。
だがその姿は無惨。
黒衣も包帯も焼けその下の爛れた皮膚を朝焼けの下に晒していた。

「ここは不干渉地帯、君たちに止められる謂れは無いよ?」
「関係無い、アンタの気配は毒だ。近づくな。」
雑渡を指さし、二つの細長い尾を持った少年は猛禽の如く瞳孔を細くし言い放つ。
「あなたに手加減なんかしたらこっちが死ぬでしょ。だから仕方が無いんです。」
穂先の着いた鎖をひゅんひゅんと振り回す濡れ髪の少年が、雑渡を伺いながら蛇のように上体を曲げる。
「たかが獣1匹に、命覚悟とはかわいらしいことだ。」


お い で 


雑渡の暗雲がその背から一気に広がる。
先の少年の口が耳まで裂け、その赤い口腔から音無き音が刃となって吐き出された。
その音無き刃の風に乗るように飛び出した後の少年からは、1本に見えた鎖が何十本にも分裂して突き出される。
ゴボと音を立てて、雑渡の皮膚が泡を立てるシュウシュウと熱を上げて広がろうとした刹那。


「止めなさい!!」

両者の間に淡い紫衣と黒い髪の主が降り立った。
雑渡をその背に庇って、両手を広げて。
だがそれも一瞬のことで、上品な衣は音無き刃を受け止め引き裂かれ、飛び込んできた少年ごとその人物は雑渡の腕の中に飛び込んできた。

「…っ。」
「っぶ!」
「…っと。大丈夫?伊作くん」
自分を庇うように青年が降り立った事で雑渡の熱は一瞬で冷めた。

「はい、雑渡さんすみません、うちの子たちがご迷惑を。」
「いや、うん、こちらも大人げなくなりそうだったから、来てくれて助かったよ。」
ありがとう、と雑渡が言えば伊作は申し訳なさそうに頭を振った。
「そんなこちらこそ」
「恩人の君を悲しませるところだった、ごめんね。」
「いいえ、うちの子達が悪いんです。雑渡さんお怪我なさってるのにこんな…。」
「いいんだよ、私は怖がられるの慣れてるから。君がこうして来てくれただけで充分、詫びには足り過ぎるくらいだよ。」

少年2人が誰の助けもアテにならないこの場所で自分に刃を向けたのは誰のためか、わからない君では無いだろうに。
獣を逃がすための時間稼ぎでもあろうが、まあいいかと諦めた。
今この場に対峙したのが雑渡と手負いの狼ならば、きっと伊作は手負いの狼を助けただろう。
だが、そうはならず、自分は彼とにらみ合う事もましてや綺麗な彼を脅すような真似もせずに済んだうえ、その背に庇われこうして心配され労わられている。
あの子たちのおかげだなあ。
うん、子はかすがいって言うものね、怖がらせて悪かったなあ。
どさくさに紛れて伊作を抱き占められた雑渡はもう上機嫌だ、日頃纏う暗雲達さえ今はおとなしくしているどころかキラキラとし始める。
せめて手当てをと申し出る伊作に、雑渡は喜んで!と両手を広げた。


守ろうとした相手が、阻もうとした相手と桃色の空気をかもし出すものだから、伊作に抱きとめられた少年・勘右衛門やれやれーと息をついた。
その腕の中に、先の少年、小さな黒猫の姿に戻った兵助が飛び込んできた。
「勘ちゃん、大丈夫?伊作、大丈夫?」
「大丈夫だよ、兵助。」
「でも、伊作、服ぼろぼろ、怪我した?私のせい?」
「うーん、まぁ俺達2人のせいかなあ。まあ、後でお説教確実だから、今はあの人たち2人にしとこうね。」
「いヤだ、アイツ嫌い!」
「仕方がないでしょー、伊作さんにばれちゃったんだから。邪魔しちゃだーめ。」
「うう、勘ちゃん冷たいのだ。」
「俺たちは代わりにアイツの様子見にいこうね、もう兵助んちに入れたと思うよ。」
「うん。」
「良かったね、俺達頑張ったからだよ。」
「そう?私たち助けになった?」
「うん、俺達のおかげであの狼はこげこげにならなかったんだよ。」
「そうか、良かったのだ。」
「うん、良かったねー。」

- 終 -

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