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とっくに他人じゃないふたりを 世間が他人に させておく
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前にちらっと書いた仙様とこへといさっくんセット前提設定で、雑伊書いてみました。
マイ設定を使った捏造未来ものや、3人仲良しものも書きたい所存。
捏造3人衆にオリキャラとか雑伊ほんのり絡めて、後輩とかもうじゃうじゃしたやまなしおちなしのただただ私が楽しい群集劇みたいなのが書きたい。すみませんきっと私しか楽しく無い。

そうそう、各SSはその記事に注釈が無い限りは独立したお話です。
捏造未来もそのうち繋がってたり繋がってなかったり微妙な感じになると思います。
記憶喪失ネタを時間軸に混ぜて考えるとわけわからなくなったのと、七ツコは短編読み切り連作集が大好きだからです。…じゃあ同じ設定じゃないのかいというツッコミは無しで…気分屋ですすみませ…。

↓ 雑伊SS
タイトル:いずれ泣くだけの恋ならば

※雑伊で雑渡さん→→→←いさっくんな感じ。
※いさっくんは憧れから恋に転びそうな辺りでぐらぐら。
※雑伊プラスこへ伊とか仙伊っぽいです。
※こへと仙様はなかよく過保護です。
 


「伊作くんが好きだよ。」
「ありがとうございます、僕も雑渡さんのこと好きです。」

う~ん。と呟いて雑渡さんは首を捻っている。
「多分、違うね。うん。」


「え?」
「私と伊作くんの好きは違うよ。」
「はあ。」

「いまのやりとり、七松小平太くんともしてたでしょ。」
「はい。よくご存知で。」
「そのときと笑顔が似てるから、違うんだなあと思って。」

「え、でも僕は雑渡さんのこと本当に好きですよ。」
「うん、ありがとう。でも私は伊作くんが小平太くんを好きだと嫌…まではいかないけど、彼より私を好きでいて欲しい、ていう好きなんだ。」
「え、小平太よりですか。」
「そう、食満くんより。」
「留三郎より…は雑渡さんが好き、ですよ。」
「えっそうなの!?」
嘘。と雑渡は両手を頬にあて、キャアキャアと叫んだ。

「伊作くんは食満くんとお付き合いしてるんじゃないの!?」
「は!?してませんよ!なんでそういう事になるんですか!」
「いや仲良しだったからつい…。」
私も修行が足らないねえ、と雑渡は頭をかく。

「うん、でも、そうとわかったら俄然やる気出てきたなあ。」
「はあ。」
「私の好きはね、伊作くんとずっと一緒にいたいなあっていう好きだよ。」

「え…無理です。」
「はは、あっさり言うね。まあいいよ。気長に口説く事にしたから。」
「やる気って、それのことですか。」
「うん、そう。」

「でも、ずっとなんて…無理ですよ。」
「うん?」
「だって、雑渡さんは僕を置いていってしまうでしょう?」
「…そうだね私は伊作くんよりおじさんだからね。」

「ううん、留三郎ももんじも長次も、伏木蔵も乱太郎も、みんな…先に行ってしまうんです。誰かとずっと一緒だなんて、無理なんです。」
あれ、と雑渡はそこで違和感を感じた。脈がないとかそういう事ではないらしい。自分が言った事に伊作は混乱している、けれどそれは思ってもいない相手に愛情を告白されたからというのとも違うようだった。

「だから、僕は僕らは、僕らでいるんです。好いた誰かとずっと一緒なんて…無理なんです。乱世が終わろうと親がいようといまいと、無理なんです。期待させないで、ください。願うだけ無駄なんです。」
伊作の目に涙が浮かんだ。
雑渡が腰を浮かそうとしたその時、障子をつき抜けた苦無が2人の間にうちこまれる。

「いさっくんどうした!」

大丈夫か、と伊作を腕の中に抱え込んだ小平太が目の前にいた。
す…と雑渡の目が細められる、伊作を抱いている事への嫉妬より、その動きに目がいった。
早い、以前顔を合わせた時よりずっと。

あ…と呟いて、伊作の目は普段の視点を取り戻した。

「だい、大丈夫だよ小平太。離して。苦無、しまって。雑渡さんに失礼だよ。」
「駄目だ、いさっくん今泣いていたろう。こいつに泣かされたんだろう。」
雑渡から目を離さぬまま、小平太は答える。
炎のような敵愾心と隠そうとしない殺気は、怒れる獣のごとし。
うーんお付き合いしてるのは七松くんだったのかなどと雑渡は考える。

「泣いてないよ、僕。小平太、ほら、見て。ね。」
伊作の声に、その拘束も構えも解かず、小平太は伊作の顔を見た。
「泣いてないな。けど、目尻が赤い。」
「今、擦っちゃったからだよ。」
ペロリと、小平太が伊作の目元をなめる。
伊作は瞼を閉じて、そのぬめりを甘受する。
小平太は満足げに笑んだ顔で雑渡に視線を向けながら、もう一度伊作に舌を這わせる。

随分と、見せつけてくれるなあ。
やれやれと雑渡は席を立つ。
「また来るよ、伊作くん。」
「雑渡さ…っ。」
その声に伊作はパチリと目を開け追い縋ろうとするが小平太にぎゅうと抱きしめられる。
「またね。」


にこりとして、それとはうらはらの心情を抱えた雑渡が屋根に上がれば大きな月を背にまっすぐな髪をなびかせた少年が迎える。
常に無い顔をして。

「今夜は随分と過保護だね。君も彼も。」
「曲者相手だ、過保護にもなるでしょう。」
「見送りにまできてくれるとはね。」
「今夜は満月ですから、月見のついでですよ。」
その顔にいつも浮かべる何をかを面白がる表情は無い。

「戯れで止めておきませんか、ずっとなどとは随分と高望みだ。」
少年、仙蔵の手に武器は無い。
けれど、たまごらしからぬ鋭利な気配に雑渡は目を細める。
冷たい静かな闘気、殺気でないところがかわいらしく、少し恐ろしい。

「子供に諭されるとは思わなかった。」
「その子供に、本気になるとは思いませんでしたよ。」
忍び組頭ともあろう男がね。
つぶやく仙蔵に、揶揄する色は無い。呆れ果てたといった風だ。
「手厳しいね。」
ふふと笑う雑渡に仙蔵は口を開き、息を吐いて続けた。
「問答を繰り返してもキリが無い、お帰りください。」
「では、ね。」

屋根を伝い、木へ飛び、塀を越える雑渡を小松田が追いかけるのを見下ろしながら、仙蔵は唇だけで呟いた。
「二度と来るな、マガモノが。」


「いさっくん、あいつは駄目だ。」
「うん、わかってるよ小平太。」
「私がいる、私達がいる。」
「うん、大丈夫、大丈夫だよ小平太。」
伊作は、自分を抱きしめる小平太にぎゅうとしがみついた。

違うそんな理由じゃない、と言いたかった。
ならどうしてそんな顔をするのだと、聞きたかった。
どちらも出来ず小平太は、また伊作をぎゅうと抱きしめた。



傷みなら代わってやれたのに。
痛みしか代わってやれないのに。
どうして私達以外に惹かれてしまうのか。

君の笑顔こそ幸福、けれどその恋だけは叶えてやれない。
いずれ泣くとわかっているのにどうしてその背を押してやれようか!

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