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とっくに他人じゃないふたりを 世間が他人に させておく
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初めからテーマがあった場合を除いて、タイトル考えるのが苦手です。
もう全然関係ないようなのつけていいかなあ…て気になったりね。
短めですが、SSらしい長さなのかも。

↓ 雑伊SS
タイトル:昼下がり

※いさっくん視点。
 


下級生達が授業に戻れば周囲はとても静かで、主不在の医務室では伊作が薬を磨り潰す音だけが響く。

「本当にここは浮世離れしてるよね。」
そこがいいんだけど、と雑渡はいつの間にか用意されているマイ茶碗をぐびりと傾ける。
「うちの子達に妙な事教えないでくださいね。」
「あ、いいねえそれ。」
「はい?」
「うちの子って言うの、いいね。私も言いたいから、伊作くんうちに来なさいよ。」


「お断りします。あなたにうちの子なんて呼ばれたくありませんから。」
伊作は雑渡を見ぬまま黙々と手を動かす。ゴリゴリブチブチと薬研が鳴る。

「おや、私のかわいこちゃんは随分冷たいねえ。」

「ふふ。いいですねそれ。」
「ん?」
「『うちのこ』よりいくらかマシでしたよ。」
「おや、そうかい。」

「ええ、子供扱いでないなら尚宜しいんですが。」
「でも君はまだ子供でしょう。」
「そうですか。」
「そうですよ、たまごの殻をお尻につけたかわいいひよこちゃんだ。」

「おやでは、殻がとれたらなんと呼んでくださいますか。」
「殻がとれても、君は私のかわいい子だよ。」
「あなたからすれば、僕はいつまでも子供なんでしょうね。」
「20も年下のかわいこちゃんだからねえ、伊作くんは私に大人扱いしてほしいのかい?」
「構いませんよ、どちらでもあなたのご自由に。」

「なんだ、だだをこねてくれるかと思ったのに。」
雑渡は膝を抱えて、ブーブーと唇をとがらせる。

「それはそれは、残念でしたね。」
「じゃあ伊作くんは私をなんて言ってくれるのかな。このくせ者は、君にとって何になるのかなあ。」
「そうですね、秘密です。」
「おや、そんな可愛い事を言うと良い意味にとっちゃうよ。」
「ええ、どうぞご自由に。」

「かわいくないなあ…。」
振り向かない伊作に焦れて、雑渡はわざとらしく呟いてそっぽを向き、子供のように膨れている。
ちらと横目でそれを見た伊作は、とうとう手を止め吹き出した。
ああ、やっぱり今日も堪えられなかったなあ。


“絶対に教えません、あなたのところにも参りません。
だから僕の事はお忘れください。
僕は僕の中のあなただけを想って生きてゆきますから。”
そう言って、この人の戯言を突き放して全て拒んでしまえたらいいのに。
それとも、すがりついて愛の言葉を吐けばいいのか。


「お茶のお代わりいれましょうか。」
言えぬ言葉と心を飲みこんで、伊作は雑渡に微笑みかける。

今日もまた、伊作は愛しい人の戯言に付き合う事にしよう。
それが、また彼恋しさに泣く夜を作るだけだとしても。

「うん、いただくよ。」
嬉しそうに頷く彼を、自ら手放すなんて出来そうもないから。
 

- 終 -
 

※大人はへたれでてさぐり、子供は大人ぶって諦め気味。

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