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とっくに他人じゃないふたりを 世間が他人に させておく
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明日出さないといけない計画書つくるの忘れてたー!
ってもメモ程度でいいんだけど。
そういうの苦手だからちょうめんどくさい…フィーリングというか感覚で動いてる人間には計画書とか向かないのですよ。上にたつのもね!ふーやれやれ。
またしばらく仕事ウィークですわー。


↓ 雑伊SS
タイトル:因果応報な恋だとしても

※いさっくんの捏造過去注意。
※ま、大したこたない…と思う。
 


「君は忍者になるには優しすぎるよ。」
雑渡さんが僕の頭を撫でながらため息をつく。

だから僕は答える。
「大丈夫ですよ、僕そんなに優しくないですから。それに優しい人も忍者をしておられますから。うちの先生方とか…他にも。うん。だから大丈夫ですよ?」

「君のその自信はどこからくるのかねえ。」
「ふふふ、僕は度胸がいいから忍者に向いてるって言ってくれた人がいるんですよ。」
「えー…うん確かにいい度胸ってのは正しいと思うけどね。」
微妙に言葉を選ばれたが、一応の同意を得られたので伊作は気にしないことにした。

「誰さその無責任な人は。」
「ん~…。」
伊作は視線を宙にさまよわせ、雑渡を見て、うん、と頷いた。
「雑渡さんならいいかなあ、知ってる人じゃないし。」

「なになに?」

「僕ね、小さい頃は祖父と暮らしていたんです。けど、祖父を含む家人全員が殺されちゃって、僕だけ何故か殺されなかったんですけど。」
「へえ。」
「僕ね、祖父が死んでるのわからなくて血まみれになって手当てをしてたそうです。その夜のことは、あまり覚えてないけど…それ以来、僕はどこかおかしいんじゃないのかって言われて、お寺に預けられたんです。」
「ああ、だから善法寺?」

「そうです。」
「で、その夜ね、ひとつだけ覚えてる事があるんです。手当てをしてる僕を誉めてくれた人がいたこと、誰にも言ってないんですけどね。その人が、誉めてくれたんです。不思議と一言一句覚えてます。」

『何してるの?』
『包帯巻くの下手だね。けど手順はいっちょまえだ。偉いね。』
『私がいても手を止めないなんて、いい度胸だ。坊や、忍者に向いてるんじゃない?』
『私がいた事は誰にも言っちゃだめだよ、お侍にもお家の人にも、絶対ね。』
伊作は、指をふりふりくせ者の真似をする。誰かさんによく似た物言いがすらすらと唇から紡がれる。

「それはそれは、よく喋るくせ者だね。」
「はい、だから僕は祖父がちっとも動かなくても怖くなかったし息をしてない事にも気づきませんでした。
その人は、ね、血だらけの包帯で祖父をくるんだ僕の頭を撫でてくれました。縁があったらまた会おうね、そう言うから。縁って何かと尋ねたら、その人はこう言いました。
『そうだねえ、君が生きて忍者になったらかな?』

「だから僕は忍者になるんです。」

「…へえ。」


「僕は昔から厄介者で、祖父は、父が生母に似てるからとまだ5つの僕の体を夜毎舐めるのを止めるために僕を引き取ってくれていたんです。
その後ね、お寺に預けられてほっとしました。お行儀よくしていれば怒られないし、読み書きは教えて貰えるし父が来ても事情を知る和尚様が守ってくださって。いま思えば祖父と機知だった和尚様は僕がおかしいと言い訳を作ってくださったのだと思います。異母兄姉が実家と縁を切る事を条件にここに入れてくれて、父との縁も切れたし。
あの人が来てくれてから良いことずくしです。
僕はどうしてもあの人にお会いしたくて、忍者になりたいんです。誰に向いてないと言われても、あの夜の言葉が僕をここまで連れてきてくれました。」

にこり、と伊作は笑った。
「そしてあなたに会えました。あの夜から、忍者になろうと思い続けてから、良いことばかりなんですよ。」

ああ、と雑渡は、昔この傷に怯えない子供がいたなと思い出す。
この子は、再会の始めからその夜の男が私だとわかっていたのか。この子の振り切れぬ好意は、かわいいこの子を死地に追いやる性は、私の自業自得か。なんという因果応報、ならば自分が苦しむのも仕方がないかと諦める。どれだけ苦しんだって、結局この子を手放せはしないのだから。
けれど曇りのない笑顔の伊作が、少しだけ恨めしかった。

「伊作くん。」
呼びかけ、せめてもの意趣返しにと押し倒したが、それも嬉しそうに受け止められた。


全く確かにこの愛情深さは、いい度胸でなければ出来ぬこと。

 

-終-

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