忍者ブログ
カレンダー
09 2024/10 11
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
拍手
何かありましたら コチラから。
お礼SSS作りました
Booklog
ブログ内検索
P R
フリーエリア
忍者ブログ [PR]
http://oteate.mamagoto.com/
とっくに他人じゃないふたりを 世間が他人に させておく
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ネタメモ読み返したら、黒伊作くんばっかでちょっと泣けました。現パロだけだった白いの!
まあ全部組頭が悪いんですけども…。
で、この下のSSなんですが、私のなかの初心ってほんとーにほんとの初めになっちゃうみたいで…ラブラブまで辿りつけなかったよ、仕方が無いこれも伊作くんが天使だからですね。
曲者がうちの伊作くんはピュアネス!って親指たててた。

拍手レス返しありがとうございますー!
レス無用で頂きましたが、嬉しかったので2つだけ伝えたい。
・ね、ね、雑渡さんには似合いますよね!じたばた悶
・「そ れ だ !」<フシキゾウ


↓ 雑伊SS
タイトル:曲者と少年

※タイトルが笑顔ムービーの某曲くさいのはタイトルつけてから気付きました。

むかしむかしある所に、敵味方の別無く傷の手当をする少年がおりました。
少年が数多手当てしたそのひとりに、百余の忍びを従える曲者がおりました。
曲者は、いとけない少年の行いを危ぶみ、我知らず心惹かれてゆきます。
少年もまた、恩に報いようとする満身創痍の曲者に心を許し、己が部屋に招きいれ心易く手当てする程になりました。

けれど、曲者はそこからどうしてよいかわかりません。
いとけなく優しい少年には、おかしな手管など使わずただただ好かれたいと思っていたからです。
自分が彼をただただ愛しいと思うように、彼にもそう想われたかったのです。
だから、子供たちを交えてのにぎやかな時間と時折ある2人きりの静かな時間を指折り数えて、繰り返すことしか出来ませんでした。
けれど少年の周りは曲者の謀り事を危ぶみ、少年と曲者の仲を割こうとするのです。自分はそんな謀り事など無いと言うたところで信じてはもらえないと、曲者は知っておりました。何せ裏表の全てを計り謀る事こそ曲者の本業でありましたから。
知っているからこそ、裏も無く日向のような時間を彼と積み重ねるしか出来ないのですから。

それでも、と曲者は決心します。
彼にだけは自分を信じていてもらえるように、何某かの手段をとらねばならないと。


「伊作くん、いつも包帯ありがとうね。」
これお礼、と雑渡は懐から自分によくにた人形をとりだした。
それを目にして固まった伊作が、あははかわいい!と破顔したので雑渡はほっと胸を撫で下ろした。
「なんかね、うちの城で今はやってるんだよね、私もモデル料代わりに貰ったんだけど、どうしようもないから。良かったら手当てのお勉強に使って?」

「に、2等身の子に無理させませんかそれ。」
ぷぷぷと笑いを堪えていた伊作だが、やはり堪えられずにまた、あはははと笑った。
「で、でもこの子かわいいので、ありがたく頂戴しますね。伏木蔵も喜ぶと思います。」
あはははと笑う伊作に、引かれなくてよかったと雑渡はぽりぽりと頬を掻いた。

「実はね、君に告白しなくてはいけない事があるんだ。」
「え、な、なんでしょうか。」

「あのね、私が君にした行いは、全部下心があるんだ。もうばれちゃってるかなーと思ったんだけど、どうも誤解されてる所もあるようだからちゃんと言っておくね。いい年してこんな事、大真面目に言うのは恥かしいから一度しか言わないよ、ちゃんと聞いてね。」

「は、はいっ。」

「私はね。」

「はいっ。」

「君に私を好いてもらいたいんだよ。」


「え。」
伊作は頬を赤らめる。

うん、予定通りだと雑渡はにこりとして続けた。

「君に、誰より一番私を好いて欲しいんだ。他の誰よりね、私は君に想われたい。君が欲しい。」
どう、伝わったかな?と首を傾げる雑渡に、伊作は懸命に言葉を捜し口を動かす。
「あ、あのそれって…ち、稚児になれって事ですか?」
「んー、それも悪くないけど、お嫁さんがいいな。一生ね、添い遂げて欲しいから。」

「え。」
伊作は一拍間をおいて、今度は耳まで赤くなった。
雑渡はその手を両手で恭しくとり、また続ける。
「勿論無理にそうしてくれとは言わないよ。そんなもの何の意味もない事くらいわかっているから。」
ね、と首を傾げる雑渡に伊作はコクコクと頷いた。

「君の笑顔を一番近くで見られて、この手に一番たくさん触れてもらえて、一番に声をかけてもらえて、想いを何より一番よせてもらえる男になりたいんだ。だから、ね、伊作くん。」
「は、い。」

「私の事を一番好きになったら、教えてね。」
そう言い、伊作の手の甲にわざわざ覆いを下げて唇を当てる。
音もたてず触れる乾いた皮膚の感触を、伊作はひどく熱く感じた。

「それじゃあ、また来るね。」

いつものように、にこりと笑ってするりと戸を抜け暗闇の中を雑渡は帰っていった。
伊作の顔の熱はなかなかひかず、鼓動は治まらずドキドキして伊作に先ほどの雑渡の言葉をますます意識させた。伊作は柔らかな雑渡人形をぎゅうと抱きしめる。どうしていいのかわからなくて、ただただどうしようもない気恥ずかしさをぶつけるように、人形を抱きしめて床についた。


そして少年は、祈る、願う。
暗闇の中、そっと曲者の感触ののこる手の甲に唇を当てて。
彼が僕を欲しいという、その理由がどうか、彼が僕を好いてくれているからでありますように。

暗闇を駆ける曲者もまた、祈り、願う。
居もせぬ神仏にではなく、かの花の顔(かんばせ)、愛しい少年に思いを馳せて。
彼がどうか私を好いてくれますように、私が彼を想うその半分くらいはどうかどうか。



どうかどうかと祈りながら、彼の人を信じきれない己がひどく悲しく、
どうかどうかと願いながら、肝心の想いをくれぬ彼の人が少し憎らしかった。

互いに言葉が足りぬと気付かずに、互いに自分ばかりが振り回されると哀れんで。
どうかどうかと願いながらすれ違い、すれ違いながら互いの想いを深めていく、そんな2人でありました。

やがて周囲が焦れてその背を押すまで、
曲者と少年は少し哀れでとても滑稽な、恋の虜でありましたとさ。



-おしまい-

 


「あれ、めでたしめでたしじゃないの?」
「くっついてないからじゃないですか?」
「じゃあくっつこうか。」
「…苦しいです。」
「好きだよ。」
「僕も、です。」

拍手

PR
"" WROTE ALL ARTICLES.
PRODUCED BY SHINOBI.JP @ SAMURAI FACTORY INC.