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とっくに他人じゃないふたりを 世間が他人に させておく
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もうほんと、タイトル面倒になってきた。
でも書くのは好きです。
現代だから公明正大にバカップルできるし!
あっ下書き無しなのでほぼ会話劇です。

バカップルだけど普段は別々でお風呂派。
一緒にお風呂、というものには、ちょっと特別感を持っていたい私。

↓ 雑伊現代パロSS いい夫婦シリーズ
タイトル:風呂上り-冬編-


「でましたー。」
「はーい、おかえりなさい。あ、また髪乾かしてない。」
「ドライヤー嫌いなんだもーん。」
こたつむりー、と鼻唄をうたいながら雑渡はこたつに足を入れ、背中を丸める。
「じゃあせめてタオルも持ってきてくださいよー。」
もうっと言って、伊作は編み物の手を止めこたつから抜け出す。

「はい、ちゃんとどてら着ててくださいね。」
タオルとってきまーすと伊作は素早く駆けていった。
転ばないかなーと心配しながら、ぽふと背中に乗せられたものに雑渡は素直に袖を通す。
自分で言うのもなんだがわりとこじゃれたライトやなんやらがあるうちのリビングに、こたつとどてらはとてもシュールだと思う。部下にも言われた。
もう慣れたからいいんだけどね。

「はい、おまたせしましたー。ほら、背筋伸ばすっ。」
背中側にあるソファに座って雑渡を両膝で固定した伊作に、肩をぐいっとひきよせられた。
「はーい。」
「痛かったら言ってくださいねー。」
初めにぎゅうと頭を押さえられグッグッと指圧して、しゃかしゃかしゃかと軽快に髪が拭かれる。
んー気持ちいーなー…と思ってうっとりと頭を揺すられていると。
「かゆいところはございませんかー。」
などと言ってくれる。
何この子すごいかわいい、思わず頭を前のめりにすると、コラッと怒られた。
理不尽、だが可愛いので問題なし。

「んー、お客様少しだけドライヤー使いますね。」
「えー、ちょっとだけにしてね?」
「はい、ちょっとだけ。」
「じゃあ我慢しよう。」
「ありがとうございます。」
ふふ、と笑って伊作はブオオンとドライヤーの電源を入れる。
タオルと取りにいったときに一緒に持ってきて電源まで確保していたらしい。
普段おっとりとしているのに、時々用意周到で雑渡は感心する。
「お熱くないですかー。」
「大丈夫でー…アツッ。」
「あ、ごめんなさい。」
すぐ温風が止んで、伊作が雑渡の顔をのぞきこむ。
「大丈夫ですか?」
「んー耳だったから大丈夫。」
傷は平気だよーと言うと、伊作はほっと息を吐いた。
「あ、でも赤くなってますね。ごめんなさい。」
「んー風呂上りだからだよ、もう平っひゃ!」

不意に耳に触れた湿った感触に、雑渡は背中を反らせて半音高い悲鳴を上げてしまった。
振り返れば、舌を出したままの伊作が雑渡の悲鳴に驚いて固まっていた。
「伊作くん…」
「はひ…」
「誘ってる?」
「誘ってません!」
「なんだ、残念。」
「明日も仕事あるのに何言ってるんですか!」
ほら、前向いてください!と姿勢を正されてしまった。

「だってー伊作くんの舌かわいいんだもーん。」
「雑渡さんのお耳がかわいいのが悪いんです!」
ドライヤーの音に被せるように言った伊作の言葉は照れ隠し故の暴発だろうけれども、とても可愛かった。
すぐに振り返りたかったけれどきっとまた怒られてしまうだろうから雑渡は堪える。
終わったらあの可愛い舌にチューしちゃおうと決めて、少し乱暴な手つきになった伊作に頭を揺らされながらフフフと笑った。

 

- 終わり -
 

やることはやってますがなぜか初々しい伊作くん、そして常に嫁ラブな雑渡さんというバカップルを目指しました。予定通りですが恥かしいのは何故だ。

 

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